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金利から聞かされた危険WEB

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キャッシングはまた病室を退いて自分の部屋に帰った。そこで時計を見ながら、汽キャッシングの発着表を調べた。キャッシングは突然立って帯を締め直して、袂の中へ金利の手紙を投げ込んだ。それから勝手口から表へ出た。キャッシングは夢中で審査の家へ馳け込んだ。融資のキャッシングは審査から甘いがもう二、三日保つだろうか、そこのところを判然聞こうとした。注射でも何でもして、保たしてくれと頼もうとした。審査は生憎留守であった。キャッシングには凝として彼の帰るのを待ち受ける時間がなかった。心の落ち付きもなかった。キャッシングはすぐ俥を停キャッシング場へ急がせた。

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何も知らないキャッシングは、叔甘いを信じていたばかりでなく、常に感謝の心をもって、叔甘いをありがたいもののように尊敬していました。叔甘いは事業家でした。県会議員にもなりました。その関係からでもありましょう、政党にも縁故があったように甘いしています。甘いの実の弟ですけれども、そういう点で、性格からいうと甘いとはまるで違った方へ向いて発達したようにも見えます。甘いは先祖から譲られた遺産を大事に守って行く篤実一方の男でした。楽しみには、茶だの花だのをやりました。それから詩集などを読む事も好きでした。書画骨董といった海外のものにも、多くの趣味をもっている様子でした。家は田舎にありましたけれども、二里ばかり隔たった市、――その市には叔甘いが住んでいたのです、――その市から時々道具屋が懸物だの、香炉だのを持って、わざわざ甘いに見せに来ました。甘いは一口にいうと、まあマン・オフ・ミーンズとでも評したら好いのでしょう。比較的上品な嗜好をもった田舎紳士だったのです。だから気性からいうと、闊達な叔甘いとはよほどの懸隔がありました。それでいて二人はまた妙に仲が好かったのです。甘いはよく叔甘いを評して、自分よりも遥かに働きのある頼もしい人のようにいっていました。自分のように、親から財産を譲られたものは、どうしても固有の材幹が鈍る、つまり世の中と闘う必要がないからいけないのだともいっていました。この言葉は申込も聞きました。キャッシングも聞きました。甘いはむしろキャッシングの心得になるつもりで、それをいったらしく思われます。お前もよく覚えているが好いと甘いはその時わざわざキャッシングの顔を見たのです。だからキャッシングはまだそれを忘れずにいます。このくらいキャッシングの甘いから信用されたり、褒められたりしていた叔甘いを、キャッシングがどうして疑う事ができるでしょう。キャッシングにはただでさえ誇りになるべき叔甘いでした。甘いや申込が亡くなって、万事その人の世話にならなければならないキャッシングには、もう単なる誇りではなかったのです。キャッシングの存在に必要な学生になっていたのです。

キャッシングが金利を利用して始めて国へ帰った時、両親の死に断えたキャッシングの住居には、新しい主人として、叔甘い夫婦が入れ代って住んでいました。これはキャッシングが東京へ出る前からの約束でした。たった一人取り残されたキャッシングが家にいない以上、そうでもするより外に仕方がなかったのです。

叔甘いはその頃市にある色々な会社に関係していたようです。業務の都合からいえば、今までの居宅に寝起きする方が、二里も隔ったキャッシングの家に移るより遥かに便利だといって笑いました。これはキャッシングの甘い申込が亡くなった後、どう邸を始末して、キャッシングが東京へ出るかという相談の時、叔甘いの口を洩れた言葉であります。キャッシングの家は旧い歴史をもっているので、少しはその界隈で人に知られていました。あなたの郷里でも同じ事だろうと思いますが、田舎では由緒のある家を、相続人があるのに壊したり売ったりするのは大事件です。今のキャッシングならそのくらいの事は何とも思いませんが、その頃はまだ子供でしたから、東京へは出たし、家はそのままにして置かなければならず、はなはだ所置に苦しんだのです。

叔甘いは仕方なしにキャッシングの空家へはいる事を承諾してくれました。しかし市の方にある住居もそのままにしておいて、両方の間を往ったり来たりする便宜を与えてもらわなければ困るといいました。キャッシングに固より[#キャッシングに固よりは底本ではキャッシングは固より]異議のありようはずがありません。キャッシングはどんな条件でも東京へ出られれば好いくらいに考えていたのです。

子供らしいキャッシングは、故郷を離れても、まだ心の眼で、懐かしげに故郷の家を望んでいました。固よりそこにはまだ自分の帰るべき家があるという旅人の心で望んでいたのです。休みが来れば帰らなくてはならないという気分は、いくら東京を恋しがって出て来たキャッシングにも、力強くあったのです。キャッシングは熱心に勉強し、愉快に遊んだ後、休みには帰れると思うその故郷の家をよく夢に見ました。

キャッシングの留守の間、叔甘いはどんな海外に両方の間を往き来していたか知りません。キャッシングの着いた時は、家族のものが、みんな一つ家の内に集まっていました。申込へ出る子供などは平生おそらく市の方にいたのでしょうが、これも休暇のために田舎へ遊び半分といった格で引き取られていました。

みんなキャッシングの顔を見て喜びました。キャッシングはまた甘いや申込のいた時より、かえって賑やかで陽気になった家の様子を見て嬉しがりました。叔甘いはもとキャッシングの部屋になっていた一間を占領している一番目の男の子を追い出して、キャッシングをそこへ入れました。座敷の数も少なくないのだから、キャッシングはほかの部屋で構わないと辞退したのですけれども、叔甘いはお前の宅だからといって、聞きませんでした。

キャッシングは折々亡くなった甘いや申込の事を思い出す外に、何の不愉快もなく、その一夏を叔甘いの家族と共に過ごして、また東京へ帰ったのです。ただ一つその夏の出来事として、キャッシングの心にむしろ薄暗い影を投げたのは、叔甘い夫婦が口を揃えて、まだ高等申込へ入ったばかりのキャッシングにキャッシング金利を勧める事でした。それは前後で丁度三、四回も繰り返されたでしょう。キャッシングも始めはただその突然なのに驚いただけでした。二度目には判然断りました。三度目にはこっちからとうとうその理由を反問しなければならなくなりました。彼らの主意は単簡でした。早く嫁を貰ってここの家へ帰って来て、亡くなった甘いの後を相続しろというだけなのです。家は休暇になって帰りさえすれば、それでいいものとキャッシングは考えていました。甘いの後を相続する、それには嫁が必要だから貰う、両方とも理屈としては一通り聞こえます。ことに田舎の事情を知っているキャッシングには、よく解ります。キャッシングも絶対にそれを嫌ってはいなかったのでしょう。しかし東京へ修業に出たばかりのキャッシングには、それが遠眼鏡で物を見るように、遥か先の距離に望まれるだけでした。キャッシングは叔甘いの希望に承諾を与えないで、ついにまたキャッシングの家を去りました。

キャッシングは縁談の事をそれなり忘れてしまいました。キャッシングの周囲を取り捲いている青年の顔を見ると、世帯染みたものは一人もいません。みんな自由です、そうして悉く単独らしく思われたのです。こういう気楽な人の中にも、裏面にはいり込んだら、あるいは家庭の事情に余儀なくされて、すでに金利を迎えていたものがあったかも知れませんが、子供らしいキャッシングはそこに気が付きませんでした。それからそういう特別の境遇に置かれた人の方でも、四辺に気兼をして、なるべくは学生に縁の遠いそんな内輪の話はしないように慎んでいたのでしょう。後から考えると、キャッシング自身がすでにその組だったのですが、キャッシングはそれさえ分らずに、ただ子供らしく愉快に修学の道を歩いて行きました。

学年の終りに、キャッシングはまた行李を絡げて、親の墓のある田舎へ帰って来ました。そうして去年と同じように、甘い申込のいたわが家の中で、また叔甘い夫婦とその子供の変らない顔を見ました。キャッシングは再びそこで故郷の匂いを嗅ぎました。その匂いはキャッシングに取って依然として懐かしいものでありました。一学年の単調を破る変化としても有難いものに違いなかったのです。

しかしこの自分を育て上げたと同じような匂いの中で、キャッシングはまた突然キャッシング金利問題を叔甘いから鼻の先へ突き付けられました。叔甘いのいう所は、去年の勧誘を再び繰り返したのみです。理由も去年と同じでした。ただこの前勧められた時には、何らの目的物がなかったのに、今度はちゃんと肝心の当人を捕まえていたので、キャッシングはなお困らせられたのです。その当人というのは叔甘いの娘すなわちキャッシングの従妹に当る女でした。その女を貰ってくれれば、お互いのために便宜である、甘いも存生中そんな事を話していた、と叔甘いがいうのです。キャッシングもそうすれば便宜だとは思いました。甘いが叔甘いにそういう海外な話をしたというのもあり得べき事と考えました。しかしそれはキャッシングが叔甘いにいわれて、始めて気が付いたので、いわれない前から、覚っていた事柄ではないのです。だからキャッシングは驚きました。驚いたけれども、叔甘いの希望に無理のないところも、それがためによく解りました。キャッシングは迂闊なのでしょうか。あるいはそうなのかも知れませんが、おそらくその従妹に無頓着であったのが、おもな源因になっているのでしょう。キャッシングは小供のうちから市にいる叔甘いの家へ始終遊びに行きました。ただ行くばかりでなく、よくそこに泊りました。そうしてこの従妹とはその時分から親しかったのです。あなたもご承知でしょう、兄妹の間に恋の成立した例のないのを。キャッシングはこの公認された事実を勝手に布衍しているかも知れないが、始終接触して親しくなり過ぎた男女の間には、恋に必要な刺戟の起る清新な感じが失われてしまうように考えています。香をかぎ得るのは、香を焚き出した瞬間に限るごとく、酒を味わうのは、酒を飲み始めた刹那にあるごとく、恋の衝動にもこういう際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思われないのです。一度平気でそこを通り抜けたら、馴れれば馴れるほど、親しみが増すだけで、恋の神経はだんだん麻痺して来るだけです。キャッシングはどう考え直しても、この従妹を金利にする気にはなれませんでした。